フリーランスエンジニアとして独立すると、自由な働き方ができる一方で、会社員時代にはなかった「リスク」や「業務の自己管理」への対応が必要になります。
業務中の損害賠償リスクや体調不良による収入減、安定的な案件獲得、そして確定申告などの事務作業──これらを一人で抱えるのは想像以上に大変です。
だからこそ、独立直後にどのサービスへ登録しておくかは、仕事の安定性と安心感を左右します。
本記事では、「リスク対策」「案件獲得」「会計」の3つの視点から、フリーランスエンジニアが最初に押さえるべきサービスをまとめました。
最小限のコストで始められるものから、将来的な備えとして入っておきたいものまで、独立初期に役立つ情報を整理しています。
リスク対策:損害賠償や病気への備え
フリーランスエンジニアは、業務中のミスやトラブルだけでなく、健康上のリスクにも直面します。独立後すぐに備えておきたい代表的なサービスとして、「フリーランス協会」と「FREENANCE(フリーナンス)」をご紹介します。
フリーランス協会

画像引用:フリーランス協会公式HP
- 賠償責任保険(自動付帯)
一般会員(年会費約1万円)になるだけで、自動的に以下のような幅広いリスクに対応する賠償責任保険が付帯されます。補償対象には発注主も含まれており、業務上の信頼性も向上します:- 業務遂行中の対物・対人事故、情報漏えい、納品物の瑕疵、著作権侵害、納期遅延などのフリーランス特有のリスク対応
- 補償内容と上限額
補償額は最高1事故あたり1億円、期間中の支払い総額は最大10億円と充実の内容です。 - 弁護士費用保険「フリーガル」(自動付帯)
報酬未払いなどのトラブル時には、法的対応の相談・弁護士支援を受けられます。 - 所得補償制度(任意加入)や豊富な福利厚生サービス
ケガや病気による収入減に備える所得補償(任意加入)や、会計ソフトやコワーキングスペース利用割引など、様々なサポートが受けられます。
FREENANCE(フリーナンス)

画像引用:フリーナンス公式HP
- あんしん補償(損害賠償保険・無料付帯)
FREENANCE会員(無料登録)で利用でき、最大5,000万円の損害賠償補償が自動で付帯されます。 - あんしん補償プラス(所得補償オプション)
ケガや病気などで就業不能になった場合に、あらかじめ設定した「受け取りたい月額」が最長1年間支給される所得補償制度です。レジャー中や天災によるケガまで補償対象になり、加入申請や審査もWEB完結でスムーズ。さらに、団体割引により保険料は個人加入より約60%お得になります。 - 保険料の目安
例として、「月額希望金額25万円」を補償する場合、35歳Webデザイナーのシミュレーションでは団体年会費3,000円+月額保険料は1,475円、年間合計約20,700円と、他社と比較して割安です。
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比較まとめ(リスク対策)
比較項目 | フリーランス協会 | FREENANCE(あんしん補償Basic) |
---|---|---|
加入条件 | 年会費10,000円で一般会員登録 | 無料登録(FREENANCE口座開設) |
補償開始 | 入会承認月の翌月15日から | 会員承認の翌月15日から |
補償対象 | 業務ミス、成果物の瑕疵、情報漏えい、納期遅延、著作権侵害など広範囲 | 業務遂行中の事故・結果責任・受託物の損壊 |
補償上限 | 最大1億円(年間最大10億円) | 最大5,000万円 |
対象業務 | すべてのフリーランス業務(職種不問) | FREENANCE口座を通じた業務収入が対象 |
情報漏えい補償 | ○ 含まれる | ✕ 含まれない(※有料プランで対応) |
納期遅延・著作権侵害 | ○ 含まれる | ✕ 含まれない(※有料プランで対応) |
年間費用 | 10,000円(税込) | 0円(無料) |
その他の特典 | 所得補償・弁護士保険・福利厚生あり | 即日払い・与信スコア・請求書管理機能など |
このように、フリーランス協会は網羅的な保険内容とコミュニティ、福利厚生が魅力であり、FREENANCEは無料登録だけで即時の補償を得られる点が強みです。独立直後の安心感を高めるために、まずは両方に登録しておくのがおすすめです。

案件獲得:フリーランスボードを軸に
独立後の安定収入には、継続的な案件獲得が欠かせません。多くのフリーランスエンジニアはエージェント経由で案件を獲得しますが、最初の一歩としては「フリーランスボード」に登録することを強くおすすめします。
その理由は以下の通りです。
- 多くの案件から自分で探せる
特定のエージェント経由ではなく、複数のエージェントや企業が掲載している案件を横断的にチェックできます。案件の傾向や相場感をつかむのにも役立ちます。 - エージェントからのスカウトを受けられる
プロフィールやスキルを登録しておくと、条件に合った案件を持つエージェントから直接スカウトが届きます。自分から動かなくても案件の提案を受けられるのは大きなメリットです。 - エージェントの比較ができる
同じような案件でも、エージェントによって単価や契約条件が異なることは少なくありません。フリーランスボードを通じて複数エージェントとやり取りすることで、より条件の良い契約を選びやすくなります。
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フリーランスボードとは?
フリーランスボードは、フリーランスエンジニア向けの案件掲載プラットフォームです。登録すると、全国のIT・Web系案件を検索・応募でき、希望条件に合った案件を紹介してもらえます。
掲載案件は、SES契約や準委任契約を中心に、在宅可能なリモート案件や高単価案件も豊富です。

利用の流れ
- 無料会員登録
- プロフィール・スキル・経歴を入力
- 希望条件(単価、稼働日数、勤務地、リモート可否など)を設定
- 案件の検索・応募
- エージェント担当者と面談
- クライアントとの商談・契約
活用のコツ
- プロフィールは詳細に記入
スキルセット、これまでの業務実績、得意分野を具体的に記載することで、マッチング精度が上がります。 - 希望条件を明確に設定
単価や稼働時間、リモート可否などは、最初に明確化しておくと案件紹介の精度が向上します。 - 他のエージェントとの併用も視野に
フリーランスボード一本でも案件は見つかりますが、複数のエージェントや案件サイトに登録しておくことで、機会損失を防げます(詳細は別記事で解説)。
フリーランスボードについて、もっと詳しく知りたい方は併せて以下をご参照ください。

エージェントについてもっと知りたい方はこちらの記事をご参照ください。

確定申告・会計ソフト:会計業務を効率化
フリーランスエンジニアとして独立すると、避けて通れないのが確定申告です。特に青色申告を選べば最大65万円の控除を受けられますが、その分帳簿付けや仕訳作業が必要になります。これを手作業で行うのは時間的にも精神的にも負担が大きいため、独立直後から会計ソフトを導入することをおすすめします。
会計ソフトを使えば、銀行口座やクレジットカードの明細を自動取得して仕訳できるほか、請求書発行や経費管理もまとめて行えます。ここでは、フリーランスに人気の3つのサービスをご紹介します。
弥生(やよいの青色申告 オンライン)

画像引用:やよいの青色申告 公式HP
- おすすめポイント
シンプルでわかりやすい操作性が魅力。初めて確定申告をする方でも迷わず使える設計です。電話・チャット・メールでのサポートも手厚く、会計知識がなくても安心。 - 料金
白色申告は無料プランあり。青色申告でも初年度は1年間無料で利用可能、2年目以降は年間1万円台から利用できます。コストを抑えたい方に最適です。 - 筆者の体験談
私自身、独立初年度に弥生を利用しましたが、特に大きく迷うこともなくスムーズに確定申告を終えることができました。初めての申告で不安がある方でも、十分対応できると感じています。
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freee会計
- おすすめポイント
スマホアプリに強く、レシート撮影による経費登録や電子申告までスマホだけで完結可能。初心者向けに質問形式で入力できるため、会計の知識がない方でもスムーズに作業できます。 - 料金
年間1万円台から利用可能。スマホメインで作業したい人におすすめ。
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マネーフォワード クラウド確定申告
- おすすめポイント
銀行・クレジットカード・ECサイトなどとの連携数が豊富で、複数の収入源を持つフリーランスにも使いやすい設計。収支レポート機能も充実しており、数字管理をしっかり行いたい方に向いています。 - 料金
年間1万円台から利用可能。データ連携を重視する方におすすめ。
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🔽 比較表:主な評価ポイント一覧
比較項目 | 弥生の青色申告 オンライン | Freee会計 | マネーフォワード |
---|---|---|---|
操作のわかりやすさ | ◎ かんたん取引入力あり | ◯ ナビ付きで初心者も安心 | ◯ やや業務向け、慣れは必要 |
自動連携・AI仕訳 | △ 明細取り込みは可能だが自動化は限定的 | ◎ レシートOCR、AI仕訳、連携多数 | ◎ 家計簿や各種サービスと連携力が高い |
モバイル対応 | ◯ | ◎ スマホで申告まで完結可能 | ◯ |
サポート体制 | △〜◎ プランにより制限あり | ◯〜◎ チャット・メール・電話あり(プラン次第) | ◯〜◎ 電話サポートは最上位プランのみ |
初年度コスト | ◎ セルフ・ベーシックともに1年無料 | △ 無料体験はあり、基本は有料 | △ 無料体験あり、基本は有料 |
継続コスト | ◎ 10,300円〜/年(税込11,330円〜) | △ 12,000円〜39,800円/年 | △ 10,800円〜35,760円/年 |
青色申告 65万円控除対応 | ◎ | ◎ | ◎ |
独立初年度は、帳簿付けや確定申告に慣れていない方がほとんどです。最初から会計ソフトを導入しておくことで、日々の経理作業が自動化され、年末の申告もスムーズになります。特に弥生は、筆者の経験からも「初年度でも問題なく使える安心感」があります。

まとめ:独立初期に優先すべき登録サービス
フリーランスエンジニアとして独立すると、会社員時代にはなかったリスクや業務管理をすべて自分で担う必要があります。
そのため、「リスク対策」「案件獲得」「会計」の3つの基盤を早い段階で整えておくことが重要です。
<本記事のまとめ>
- リスク対策
フリーランス協会やFREENANCEで、損害賠償や病気・ケガへの備えを確保。無料で始められるものから、幅広くカバーする有料プランまで揃っています。 - 案件獲得
まずはフリーランスボードに登録し、多くの案件から比較・選択できる環境を作ることが大切。スカウトや複数エージェント比較にも役立ちます。 - 会計
確定申告に備えて会計ソフトを早めに導入。弥生は青色申告でも1年間無料で、初心者でも使いやすく、筆者自身も初年度から問題なく利用できました。
独立初期は何かと忙しく、すべてを一度に整えるのは難しいものです。まずは無料で始められるサービスやコストの低いサービスから登録し、少しずつ体制を整えていくのがおすすめです。
これらのサービスを活用すれば、安心して案件に集中できる環境を早期に作ることができます。
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